タコノキ

実がなる

ドラム式洗濯機のこと

金曜日

曇っているし、冷えている。昨日は雨が降った。朝の通りには人が少ない。まばらに歩いている人たちは皆一人で急いでいる。おれはなんの調味もしないままの食パンをかじりながら駅に向かっている。
歩きながら、出がけに運転予約をかけた洗濯機のことを思う。実際に自分で買って使うまで乾燥機能付きの洗濯機のことは正直疑っていた。洗濯機にすべてを任せて、洗濯物を干すことなく、洗濯機から取り出したものをそのままたたんで仕舞うことなどできるのだろうかと思っていたが、いざ使ってみたらそれなりに良い仕上がりであったので気に入った。
だが服に長い間高熱を浴びせるのは服を適当に扱っている感じがするし、この間はうっかりウールものを乾燥に入れてしまったがためにひどいことになった。やはり洗濯が終わったらすぐに戸外に干すのが一番上等なやり方で、一番丁重なことに変わりはない。けれども今朝のような、今にも雨の降り出しそうな曇り空では、日中干したところでろくに乾きはしないだろう。
かつて洗濯とは、ある程度日差しのある日にやるべきものであった。それは今でもそうなのだが、やがて洗剤柔軟剤の性能がよくなり、部屋干しをしてもあまり臭わなくなった。今や最新世代のひとつ前のドラム式洗濯機を家電量販店で安価に手に入れた私は、気候も臭いも何も気にせず洗濯をするようになった。そして、熱風を浴びせても良いような耐熱性を服に求めるようになった。
ドラム式洗濯機によって洗濯ができない事情から解放され、その日の空模様を気にする理由が一つなくなり、おしゃれな服を買うハードルはまた一つ増えたのである。