タコノキ

実がなる

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

移動し続けたい——定住の苦難、ものを持つ苦難について

プロローグ 恍惚としていた。毎日この気分でいられないかと思った。 20キロメートルくらいを散歩仲間と連れ立って歩いた。道中ワイワイしながら飲みものを買ったりして、最後はスーパー銭湯で風呂に入って帰った。 帰りの電車の乗り換えで、ふとのホームから…

『暇と退屈の倫理学』からの連想(二)〜「何者か」について

人は何かから疎外されている。その結果、「どうして自分がこんなことを?」と感じたりする。その疎外を、「本来的な」何かへの回帰で埋めようとするのは、安易で自然で強烈な誘惑なのであった。 しかしそうした本来的なものの存在を仮定した瞬間、その状態に…

『暇と退屈の倫理学』からの連想

本来的なものなど存在しないと言って、十把一絡げに疎外そのものをも否定してしまうなら、結局そこに生まれるのは現状追認の思想である。疎外を否定した以上、どんな思想も相対的に位置付けられてしまうからだ。 國分功一郎 『暇と退屈の倫理学』 本文の引用…